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筑波大学大学院でジオパークを題材に授業が行われました!【現地研修@ 桜川市】(2022/12/4)

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12月4日(日)に筑波大学大学院自然保護寄附講座「ジオパーク論」の現地研修が桜川市で開催されました。

筑波⼤学では、個⼈の篤志家からの寄附により、⼤学院⽣を対象とした⾃然保護寄附講座(サーティフィケートプログラム)が、2014 年度から開講されています。

この講座は、⾃然科学と社会科学の両⾯から「⾃然保護とは何か?」を学び、⾃然保護に携わる国内外の様々な機関や企業で活躍する⼈材を育成するための教育プログラムとして、⼈間総合科学研究群および⽣命地球科学研究群の共同で運営されています。

今回はジオパークを題材に、自然と人とのつながりや地質遺産の開発と保全についての理解を深める授業「ジオパーク論」が2日間に渡って開講され、初日はジオパークについて学ぶ講義、2日目は桜川市で現地研修が行われました。

 

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桜川市は筑波山塊の西側に位置し、山の恵みを利用した産業が古くから盛んに行われてきました。

桜川市の西側に広がる加波山や足尾山などの山々は花こう岩と呼ばれる岩石で構成されています。

この花こう岩は採石業・石材加工業に利用される他、花こう岩由来の土砂を活用した鋳造業が現在も行われいます。

現地研修ではそれぞれの産業に携わる方々に協力いただき、職場を見学させていただいた他、歴史、自然との関わり方についてお話を聞かせていただきました。

 

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採石業を営んでいる寺西石材では、石材を切り出す採掘所である丁場の他、切り出した石材を墓石などに加工する工場を見学させていただきました。

桜川市での採石業の歴史は古く、石器時代以来の石の産地であり、明治30年以降に本格的に採掘が行われてきました。本格的に採掘が行われた初期は建築材として多くが使用され、迎賓館や皇居など日本を代表する建物に使用されています。

寺西石材の職人の方々から茨城の石や真壁石の建築物について説明を受けた後、実際に石を切り出す様子や石を割る実演を見せていただいたり体験させていただきました。

また、毎年県から認可された量を採石し、環境への配慮として採石跡地は緑化のため植樹しているお話も聞かせていただきました。

寺西石材では、140年以上の歴史を持つ老舗採掘元として、石のオンラインショップを運営しており、最近は花こう岩のゼノリス部分で作られたツボ押しも販売しています。このツボ押しは「限られた資源を無駄なく活用する」考えのもと作られた商品だそうです。寺西石材では「この石は使えるけど、こっちは使えない」という価値基準自体をなんとかしたいと考え、1つの活用例としてツボ押しを作成したそうです。

「石を使わせてもらっていること自体に感謝しかない」と思いのもと作られた「つぼ押し」は、デザイン性の高い加工・包装でその価値を昇華させており、石との関わり方を考えながら石材業を営まれている寺西石材の素敵な商品だと思いました。

 

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鋳造業を営んでいる小田部鋳造では、梵鐘の鋳造場所を見学させていただきました。

梵鐘はお寺で鳴らされる大鐘のことです。

小田部鋳造は関東唯一の梵鐘を造る鋳造屋さんだそうで、筑波山麓に鋳造に必須の良質の砂と粘土を発見し、桜川市真壁に居を定めてから800年以上の歴史があるそうです。

小田部鋳造では37代目の小田部庄右衛門さんより、梵鐘の説明のほか、音色や色合いへの思いについて聞かせていただきました。

実際に鐘を鳴らして様々な角度から音を聞き分ける体験は、なかなかできない体験で、身をもって学ぶことができました。

 

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石材加工業を営んでいる加藤石材では、石材を加工している工房と商品の展示場を見学させていただきました。

桜川市でとれる石材は江戸時代に庶民文化の興隆により城郭や神社、仏閣、墓石、美術工芸品などで利用が広がったと言われています。中でも「真壁石燈籠」は伝統技術を多くの名工により継承され、平成七年に国の伝統的工芸品に指定されました。

加藤石材では石燈籠と小叩き五輪塔や石仏を中心に、手作業にこだわり、ものづくりをおこなっています。

伝統工芸士である加藤さんからは、均一な模様の石材は建築物に使われ、味のある模様の石材は伝統的工芸品に使われ、無駄なく活用されているお話をお聞きしました。

また現在は後継者不足で、次世代育成のため、真壁高校と連携して人材育成を行っているお話もお聞きしました。

 

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今回ご協力いただいた桜川市の事業者さんは、どの方も素敵な方ばかりで、物作りに対する想いや姿勢に感動しました。

学生の皆さんは自然と人とのつながりや地質遺産の開発と保全についての理解が深まったと思います。

今後も筑波大学と連携をしながら、自然保護を学ぶ学生の皆さんがジオパークの活動を知り、学ぶ機会を作れればと思います!

 

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  • 2022年11月2日
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