筑波山北麓の羽鳥地区には、第四紀の度重なる土石流などによって形成された山麓緩斜面堆積物が広く分布する。
その上には、筑波山南麓とは対照的な落葉広葉樹林とかつて里山だったアカマツ林跡が残り、春の落葉樹林の林床には、カタクリやニリンソウが咲き誇る。
羽鳥地区には、真壁地区と筑波山(男体山)山頂を結ぶ「羽鳥道」があり、古くは修験者らの山岳修業の道として、江戸時代中期ごろからは庶民の参拝道として利用された。
よってこの道沿いには、多くの寺社仏閣や石造物が残されている。
また、羽鳥道そばに佇む歌姫(うたづめ)神社付近は、古代の「嬥歌(かがい)」伝承地とされ、羽鳥道沿いを流れる男女川(みなのがわ)とともに、万葉集や常陸国風土記の面影を今に伝えている。