筑波山の中腹~山頂には、約7千5百万年前に大陸プレートの地下深部で形成された斑れい岩が広く分布し、特に山頂近くではこの岩石が急峻な岩肌を形成する。
男体山と女体山の斑れい岩を比較すると、男体山の斑れい岩はやや黒っぽく、女体山の斑れい岩はやや白っぽく見える。
これは、女体山を形成した班れい岩質マグマが形成される際、結晶分化作用によって白色で比重の軽い斜長石の結晶がより多く集まったからである。
また、筑波山の斑れい岩には、「節理」と呼ばれる一定方向に伸びた割れ目が多数発達する。
「ガマ石」、「立身石」や「弁慶の七戻り」など山頂近くで見られる巨石・奇岩群は、長年に及ぶ節理の発達と周辺の土砂侵食がつくり出したものである。
筑波山山頂近くには、ブナやイヌブナ、ミズナラなどの冷温帯性の落葉広葉樹林が広がっている。
これらの樹木は、約2万年前の最終氷期の生き残りと言われ、その後の温暖化に伴って山頂などの狭い範囲に残ったと考えられている。
このブナは、国内では太平洋側のブナと同様の特徴をもつが、他地域のブナとは遺伝的に異なる個体群であることが指摘されている。
しかし近年の環境悪化や温暖化などによってその衰退・減少が危惧されており、「ミュージアムパーク茨城県自然博物館」、「茨城県環境政策課」、「森林総合研究所」やNPO法人「つくば環境フォーラム」等の連携によるブナの分布調査が実施されている。
筑波山全体を御神体として祀る筑波山神社は、筑波男大神(イザナギノミコト)、筑波女大神(イザナミノミコト)の夫婦二神を主神とし、班れい岩からなる男体山山頂と女体山山頂の2か所に本殿を、中腹に拝殿を構える。
拝殿の境内や裏手の登山道近くには、筑波山が歌枕として登場する複数の万葉集歌碑が立ち並ぶ。