「梅林」や「筑波ふれあいの里」の谷筋では、斑れい岩の巨礫やマサ化した花崗岩片などを含む山麓緩斜面堆積物が広く分布する。
梅林内の林道沿いでは、粗粒の白色鉱物(主に石英や長石類)を多く含む筑波花崗岩が露出し、マサ化して表面がもろくなった花崗岩も実際に見て触れることができる。
一方、筑波ふれあいの里近くの「白滝」では、梅林と同様の特徴をもつ花崗岩のほか、黒雲母などの有色鉱物を多く含む花崗閃緑岩が見られる。
筑波山南麓には、スダジイやシラカシ、タブノキなどの温暖帯性の常緑広葉樹が生育する。
特に大御堂境内のスダジイの巨木は生命力に溢れ、見ごたえがある。
本来、スダジイやタブノキは西南日本の海岸斜面で多く見られる樹木で、本サイトで見られるこれらの樹木は、約7~6千年前の「縄文海進」とよばれる温暖期に分布を広げたものと考えられている。
筑波山南麓には、筑波山全体を御神体とする「筑波山神社」、明治の廃仏毀釈で破却となった中禅寺知足院を再興した「大御堂」、古来の巨石信仰を今に伝える「飯名神社」や「月水石神社」など、多くの寺社仏閣が存在する。
筑波ふれあいの里の雑木林内にある「夫女ヶ石(ぶじょがいし)」は、山麓緩斜面に転がる2つの斑れい岩の巨礫である。
それぞれが男女を示すとされ、男女が集って歌を掛け合い饗宴する「嬥歌(かがい)」がこの地で行われたと伝承されている。
常陸国風土記では、筑波山に関東中から男女が集って嬥歌が行われた様子が記されている。