平沢周辺では、高温の花崗岩質マグマの貫入によって堆積岩が変成してできた片麻岩が見られる。この片麻岩は、黒雲母に富む黒色部と石英や長石に富む白色部の縞状構造がよく発達するのが特徴で、近くの山腹にある古墳の石室や山麓の平沢官衙遺跡(国指定史跡)の礎石などにも用いられている。宝篋山の山頂付近には、砂岩や泥岩が花崗岩質マグマに接触して変成した砂質・泥質ホルンフェルスが露出し、山麓の谷筋には、これらの巨礫を含む緩斜面堆積物が見られる。
宝篋山や麓の小田地区には、鎌倉時代に奈良西大寺の高僧、忍性(にんしょう)と西大寺系の石工集団が造立した板碑、宝篋印塔や五輪塔などの石造物が点在し、板碑にはホルンフェルスが、その他の石造物には筑波花崗岩が用いられている。これらの石造物の多くは、その歴史的・文化的価値から茨城県やつくば市の文化財に指定されている。