八郷盆地では、筑波山塊でみられる筑波変成岩などが露出している。
これらの岩石は、後期更新世以降の恋瀬川の活発な下刻の際に盆地内からの土壌の流出を妨げたと考えられており、特に堤防状に露出する部分は「窄入(さくにゅう)部」と呼ばれている。
こうした複数の窄入部のおかげで、八郷盆地は今も肥沃な土壌に恵まれ、八郷地区は農業が盛んな地域となっている。
八郷地区は「にほんの里100選」に選ばれており、現在も70棟近い茅葺き民家が残っている。
国の登録文化財である大場家住宅では、茅屋根職人の高い技術と防風・防砂機能を備えた高い生垣などを見学できる。
八郷地区では、こうした筑波山麓の茅葺き民家を後世に伝えるために保存会が結成され、屋根の補修に使う茅場の管理などを含む、茅葺き民家の保存活動が行われている。
柿岡地区にある地磁気観測所は、100年以上にわたって地球磁気・地球電気の高精度観測・調査を定常的に行っている。
この観測所は、大正元年(1912年)までは都内にあったが、物理学者の寺田寅彦らが、磁化しにくい花崗岩地帯にあって磁気的に安定しているこの地に移転させた。